家づくりのヒント~古民家の○○を真似するべき~

今回は巨匠 吉田五十八の住宅建を紹介します!

 

まだ紹介していませんが、吉田五十八建築を観るのは3度目。

御殿場の旧岸邸、葉山にある山口蓬春美術館、そして今回。

3作みて感じたことは

吉田五十八

「和の空間に繊細なデザインを加える手法」

の力を持った建築家だということ。

ちなみに岸邸の近くにある和菓子屋とらや建築は以前ご紹介しています。

 

tatamisekkei.hatenablog.com

 

 

ではさっそくご紹介してまいります!

まずはじめに・・・

みなさまは古民家は好きですか??

 

古民家カフェがすき!

という方はたくさんいらっしゃると思います。

しかし、目新しく古びた感じがいい以外、どこがいいのかと聞かれるとわからないですよね。

 

そうなんです!

お屋敷とか古民家の素敵さってわかりづらいんですよねー。

私ですら、木がたくさん使われているのと、構造が違うということがわかるくらいで他は「ふーん」という感じでした。

良さがわからん!(こんな建築士は人気にならない・・・笑)

 

そこで、いくつか興味を持てるような工夫をご紹介いたします。

 

近年はハウスメーカー工務店の安く早く作る家づくりが一般的になっています。

そこで起きた弊害は・・・

・土地の図面と方位だけで設計をしていることが多く、土地の良さがわからない。

・余計な図面を書きたくないので細部の提案をしない(できない)。

・街に馴染む建築の工夫に挑戦しない。

 

 昔ながらの家づくりには現代の住宅でも真似するべき工夫がたくさん詰まっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

ここは旧猪俣邸という成城学園前にあるお屋敷です。

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①おもてなしの場

家と外とを分ける立派な門があります。

 

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宅建築士の小言

今は塀など取っ払って庭を外に開いている家が多くなって来ましたね。

これは、大きな土地を小さく割って狭小地に家を建てる計画が多くなってしまったり、たくさん住宅用地を作るために狭い道路を作ってしまうことから、塀などを作ると近隣と拒絶しすぎてしまうためと思います。

 

道路との境界には植栽をして明るくきれいな街並みを作りましょう。

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上を覗くと中心に支えがない構造になっていて軽やかな印象。

また、門をくぐるとちょっと腰かけて休憩できるスペースがあります。

ちょっと休憩するには屋根もあって、居心地いいスペースですよね。

お庭からのにおいや風の流れが気持ちよさそう・・・

ご近所さんともコミュニケーション取りやすく、この土地馴染もうという姿勢が好感を得られます。

 

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あれ?めっちゃ低い!

当時の日本人はこんなに小さかったのか??

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②天然石を使った玄関ポーチ

玄関の床に使われている石は玄昌石。

天然石は反射光がきれいで落ち着きます。

東京駅の屋根にも使われているようですよ。

ちなみに斜めの張り方は四半敷きといいます。

 

やはり玄関はおもてなしの場。本物を使用したいところです。

今回のように天然石を使用すると落ち着きますね。

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③繊細さを吹き込んだ開口部

陰影がすてきな吉田五十八建築。

細部の設計が効いてきます!

 

なんでこんなに枠が無いようにみえるのかなぁ。

と思い、よくみると、なるほど!

斜めに切っていることで入ってくる光をより広げているのか。

室内から開口部を見ると枠が見えなくなっていますね。

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④最大限のこだわり

和室にはルールがあります。

一番は床(とこ)を突かないこと。

床の間に直行方向に刺さる設計をしてはいけません。

 

しかしながら、畳製作の都合上、一般住宅では畳2枚を床の間に対し平行に並べて置いています。

そうすると厳密には畳を並べたときにできる、畳の縁同士が接した部分が線に見え、床の間に刺さることになってしまいます。

そこでこの猪俣邸では大きな一枚の畳にして絶対に床を突かない設計になっています。

すごいこだわりです。

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 ⑤光が漏れる障子

これは茶室前の水場です。

自然光が見込めないときの明るさを確保するため、照明を計画することになったようですね。

悪目立ちしないように障子を付けて照明器具を隠す工夫しています。

オレンジの電球色は障子との相性が良いですね。

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吉田五十八建築では埋め込みの照明を多く使用しています。

照明器具でなく、建築でデザインとする。

今で言うと間接照明です。

 

 ⑥庭とつながる大きな開口部

3で紹介した開口部の工夫もあり、庭が綺麗に切り取られています。

景色がいいところには思いっきりつなげる!

光が差し込むところ、風が流れるところを計画前に確認しているのでしょう

気持ち良い空間になることをすごくわかっているからこそできる思い切った計画です。

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以上!!

 

他にもたくさん素敵な工夫がありました。

古民家には現代の家づくりに真似できるところが多くありましたよね。

依頼する前には雑誌を読むだけでなく、古民家も見てみると新たな発見ができますよ!

 

ご興味ある方は是非訪れてみてください。

 

猪股邸の場所はこちら!

庭園がメインなのでしょうか。

お庭も素敵ですよ!

 

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 解説頂いたお庭のプチ情報

猪股さんはお金貸しをやられていたようで、

お庭にはカリンの木と樫の木が植わっていました。

お金は借りん、貸すんだー!

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松を守る大きな傘。

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これは雪から松を守るための雪吊りという技術。

関東では必要ない技術ですが、技術伝承のために毎年行われるそうです。

ご興味ある方はぜひ!

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では!

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